【緊急報告 第9弾】2026年6月2日、中東情勢による材料・資材への影響と弊社の現状について
毎週火曜日の定点観測。今週も引き続き、中東情勢の緊迫化を受けたモノづくりの現場の最新状況をご報告します。この異常事態における「記録」として、2026年6月2日現在のリアルな状況を書き残します。
今回もまずは結論から申し上げます。 「本日現在、材料不足を理由に受注をお断りしなければならない状況ではありません」。
ただし、エッチング製品など溶剤を多く使用するご注文に関しましては、引き続き「分納(分割納品)」のご相談をさせていただいております。まずはこの点、ご理解いただけますと幸いです。
全体の状況としては、先週から劇的な変化はありません。しかし、相変わらず「綱渡り」の状況が続いています。
1. 溶剤・シール材の不足。原因は「ナフサ」ではなく「恐怖」
シンナーなどの溶剤は相変わらず入りが悪く、ギリギリのやりくりが続いています。また、今週に入ってシール材料の一部にも入荷が遅れるものが出てきました。
メディアの報道を見ていると、何かと「ナフサ不足」に原因を繋げたがりますが、現場にいる人間の肌感覚としては少し違います。これらはナフサそのものが物理的に消えたというより、「値上げ前の駆け込み」や「将来が不安だから多めに買っておこう」という、全方位からの偏った発注の積み重ねが原因です。つまり、報道によって植え付けられた「恐怖心」が生んだ、需給バランスの崩壊です。
政府の言動が正しいのか嘘なのか、色々なエビデンスを並べて理屈をこねる議論がネット上で盛んですが、正直そんなことはどうでもいいのです。一番問題なのは、そうやって恐怖心を煽ることで、現場の偏った購買行動を誘発していること。これには本当に「やめてくれ」と思っています。
2. マスへの集中と、届かない特定ニーズ
以前の情勢報告で「専用シンナー」のお話をしました。 仮にマクロの視点で「日本全体のナフサの量は足りている」というのが事実だとしても、みんなが一斉に同じ材料を囲い込もうとすれば、供給は必然的に大手の大量消費される「マス向けの製品」へ集中してしまいます。その結果、私たちのような町工場が必要とする、細かいニーズの専用溶剤まで回ってこないのが現状なのです。
原油の調達が増えてナフサの生成量が増えたとしても、それが末端の特定製品の形になって現場に届くまでには、数日どころではない日数がかかります。 そのタイムラグの間に、メディアが「現場はまだ足りない!」と不足している部分ばかりを強調するから、また新たな恐怖心が芽生え、過発注が止まらない。いつまで経っても状況が変わらない原因はここにあります。
(供給側の立場からすれば、「価格を上げられるうちに上げたいから、少し出し出しにしよう」という心理が働くのも、自分がその立場なら理解できなくはありません。綺麗事は言えませんから。)
3. え!アルミまで無いの?ナフサじゃないよ、別の理由。そして複数購買の強み
「一喜一憂するな」と言われても、商売をやっている以上、材料が無いというのが一番恐ろしいことです。材料が無ければ、私たちは何もできません。だからこそ、今私たちができることは、状況を「早め早めにお客様へお伝えすること」だけだと思っています。
そんな中、新たな情報が入ってきました。アルミの特定の材料が無いって。。。 弊社にはまだ在庫があるため直近の製造は大丈夫ですが、この先はなんとも分かりません。これも「ナフサ不足のせいか」と思われがちですが、どうやら別の理由らしいです(詳細は書けませんが……)。
ただ、こういう有事の際、日頃から複数の材料屋さんとお付き合いしておく「複数購買」を徹底していて本当に良かったと実感しています。一つのルートが詰まっても、別のルートから情報や物が入ってくる。この繋がりが今の弊社を支えてくれています。
お客様へのお願い
何度も言いますが、現段階では「遅れながらも入荷はしている」という状態です。しかし、この先どうなるかは誰にも分かりません。
お客様からも「今後どうなりそう?」と何度も聞かれますが、大変心苦しいのですが「正直、まだ分からない」というのが現状の濁しのない回答になってしまいます。
毎日、細かく材料の在庫を目で見て確認し、色々なところから情報を集め、どのお仕事にどう割り振るかを検討してやりくりする。そんな地味で泥臭い毎日ですが、今週も緊張感を切らさず、目の前の製品を一つずつ丁寧に仕上げてまいります。
