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凹んでいる文字は全部レーザー?便利だけど万能ではない「金属レーザー加工」のリアル。

中東情勢の緊迫化に伴う現場レポートも前回で無事に完結し、今週からは本来の「モノづくりの技術」に関するブログに戻ります。 おかげさまで現場もだいぶ落ち着きを取り戻し、一時期はハラハラした溶剤なども安定して入荷するようになりました。ご心配いただいた皆様、本当にありがとうございました。

さて、今日から数回に分けて、私たちの現場で大活躍している「レーザー」について掘り下げていきたいと思います。第1回目は、金属素材に対してレーザーを使う場合のリアルな特性についてです。

「凹んでいる文字=すべてレーザー」という誤解

一般のお客様から「文字が凹んでいるから、これはレーザーで彫ったんですよね?」と聞かれることがよくありますが、実はそれは大きな誤解です。

私たちが扱う銘板において、深く、あるいは広範囲に文字や図柄が凹んでいるもののほとんどは、レーザーではなく「エッチング(化学薬品で金属を溶かして彫る技術)」です。

では、レーザーは何が得意なのかというと、「ちょこっとした細かい文字を彫る」「すでにプレートの形(完成品)になっているものに、後から文字を追記する」といった、小回りの利く作業に圧倒的な適性を持っています。

そしてもう一つ重要なポイントがあります。弊社のレーザー加工は、基本的に「アルミ素材」をメインに考えています。ステンレスは非常に硬いため深くは彫れませんし、真鍮は彫ることはできても、熱で断面が汚くなってしまうからです。

レーザー加工の2つの種類

私の感覚では、金属へのレーザー加工を大きく以下の2つに分類してお客様に説明しています。

① レーザーマーキング(表面への焼き付け・剥離)

金属の表面をひっかくようにして被膜を剥がしたり、レーザー光の熱で文字を焼き付けたりする方法です。

よく「シルバーの金属にレーザーで黒文字を入れられますか?」と聞かれますが、実はマーキングだけで「真っ黒」に発色させるのは難しいことが多いです。例えばステンレスへのレーザーマーキングは、黒というよりは「焦げ茶色」と表現した方がしっくりくる仕上がりになります。

私たちが「これが一番綺麗だ」と思っているのは、黒アルマイト処理を施したアルミへのマーキングです。黒い表面の被膜だけをレーザーで狙い通りに剥ぎ取ることで、下地のアルミが露出し、文字がパキッと綺麗な「白」として浮かび上がります。

② レーザー彫刻(深く彫り込んで色を入れる)

こちらは「彫刻」の名の通り、金属を深く彫り込む加工です。主にアルミのプレートに対して行います。 「アルミは柔らかいから簡単に彫れるんでしょ?」と思われるかもしれませんが、実はそう簡単な話ではなく、弊社が導入している高パワーのレーザー機があるからこそ、この深彫りが実現しています。

こうして深く彫り込んだ溝に対して、後からラッカーなどの塗料を流し込んで(色入れ)、文字に色をつけます。

レーザー加工が「最高に活きる」シチュエーション

この特性を踏まえると、レーザー加工は以下のようなお仕事で最大の強みを発揮します。

  • 超少量(1枚〜)の製作: 「シルバーの板に黒文字を入れたプレートが1枚だけ、急ぎで欲しい」といった場合、版(型)を作る必要がないレーザーは最適です。

  • 日付やシリアルナンバーの追記: 共通のデザインでベースのプレートをあらかじめまとめて作っておき、出荷時に「製造年月日」や「ロット番号」だけを1枚ずつ後から追記する、といった運用に向いています。

終わりに

レーザーは非常に便利でハイテクなイメージがありますが、素材との相性や「向き・不向き」がハッキリしている技術でもあります。万能ではないからこそ、エッチングやアルマイト印刷といった他の技術と組み合わせることで、私たちは最適な銘板を作り出しています。

来週以降も、知っているようで知らないレーザーのお話を続けていきます。どうぞお楽しみに!