カテゴリー

同じ0.2mmの凹みでも大違い。レーザーとエッチング「見栄え」を分ける2つのポイント。

先週から始まりました「レーザー加工」の連載シリーズ。第2回の今日は、前回のブログで少し触れた「実はレーザーよりもエッチング(薬品で彫る技術)の方が見栄えが良い」というお話の深掘りです。

「凹んでいる文字=すべてレーザー」と思われがちですが、仕上がりの美しさや高級感を求める場合、私たちは今でもエッチングをおすすめすることが多いです。

その理由は、大きく分けて次の2つのポイントにあります。

  1. 彫る「角度(断面)」の違い

  2. 彫った「底面」のきれいさ

ポイント①:彫る「角度」の違い(なぜ深さが伝わらないのか)

まず1つ目が、文字を彫ったときの「断面の角度」です。

レーザーの場合、光の刃が上から真っ直ぐ垂直に入っていくため、おおよそ「直角(垂直)」にカチッと凹みます。 一見、精密で良さそうに思えますが、実はここに落とし穴があります。断面が直角だと、正面から見たときに光の影がつきにくく、「深さが目で見えづらい」のです。触ってみると確かに結構な凹みを感じるのですが、正面から見ると普通の平らな印刷とあまり変わらない印象になってしまいます。

対して、エッチングの場合は違います。 エッチングは薬液(鉄液など)を使って金属をじわじわと溶かしていくため、彫る際に断面に若干の「テーパー(傾斜)」がつきます。端からなだらかに溶けていくイメージです。

【断面の簡単なイメージ】

  • レーザー: |_| (真っ直ぐストンと落ちる)

  • エッチング: \_/ (なだらかな傾斜がつく)

このわずかなテーパー(傾斜)があるおかげで、光が当たったときに立体的な陰影が生まれ、「おお、しっかり彫れているな」という感覚が視覚的にパッと伝わるのです。

💡 ちなみに:深さの限界について

レーザーにしろエッチングにしろ、プレートに彫る深さはどちらも大体 0.2mm 程度が限界です。 「もっとダイナミックに出っ張らせたい!」「もっと深く凹ませたい!」というご要望をいただくこともありますが、その場合は彫る加工ではなく、専用の金型を作ってガツンと金属をプレスする「フレクションプレス」という工法をとるしかありません。ただ、これには当然金型代がかかるため、手軽に小ロットで……というわけにはいかないのが難しいところです。

ポイント②:彫った「底面」のきれいさ

2つ目の違いは、文字の底にあたる「彫った面の美しさ」です。

レーザーで金属を深く彫ろうとすると、どうしても熱で金属が凸凹になり、どうしても少し「焦げ」が出てしまいます。 もっと時間をかけて、後処理用のレーザーを何度も往復させれば多少はマシになるかもしれませんが、やはり限界があります。

一方で、エッチングで彫った面は、薬品で均一に溶かしているためザラザラ感がなく、白くきれいに抜けます。

同じ面積をベタで広く彫るようなデザインの場合、底面の美しさの差は一目瞭然で、エッチングに軍配が上がります。

終わりに:あえてデメリットを書いた理由

今回は「レーザーのデメリット」ばかりを並べる形になってしまいました(笑)。 しかし、これが現場のリアルな事実です。「最新のレーザーだから何でも一番きれいにできる」というわけではないことを、知っていただきたかったのです。

では、レーザーはダメなのかというと、決してそんなことはありません。最初にお話しした通り、レーザーにはレーザーにしかできない「最強の得意分野」があります。

というわけで次回は、「じゃあ、レーザーはどんな仕事のときに大活躍するの?」という、レーザーの強みを活かした事例についてお話しします。お楽しみに!