50%の依存から大赤字を経験して。経営者が警戒すべき「3つの依存」とそのリアル。
経営をやっていると、ふとした瞬間に「リスク管理」について深く考えさせられます。その中でも、私が特に警戒し、長年かけて対策を講じてきたのが「依存」というリスクです。
一言に依存と言っても、中小企業の経営において、警戒すべきリスクは大きく3つあります。
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売上の大部分を一社に頼る「売上の依存」
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特定の職人にしかできない「作業者への依存(属人化)」
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孤独な決断から逃げてしまう「精神的な依存」
今回は、弊社の過去の苦い教訓も交えながら、この3つの依存リスクについてお話しします。
1. 売上の依存リスク:教訓はリーマンショックの大赤字
かつて、弊社はある特定のお客様(グループ全体)への売上依存度が50%以上に達していました。当時は売上が安定しているように見えましたが、そこに襲いかかったのが「リーマンショック」でした。
主要顧客の仕事が止まった瞬間、会社は一気に大赤字へと転落。あの時の恐怖と悔しさが、私の経営者としての大きな教訓となっています。
それ以来、「これではいけない」とネット集客を中心に新規開拓をコツコツと続け、顧客の分散を進めてきました。その結果、現在では最も大きなお客様でも売上比率は約20%にまで抑えることができています。
誤解のないように言いますが、依存度を下げたからといって、そのお得意様を軽視しているわけでは全くありません。むしろ、品質に非常に厳しいそのお客様の仕事があるからこそ、弊社の高い品質維持や技術のブラッシュアップができている、本当に大切なお客様です。
ただ、どんなビジネスにも必ず「仕事の波」があります。依存度を20%に抑えられているからこそ、その波が「谷」になった時でも、他の仕事でカバーし、会社を安定させることができるようになりました。
依存が強すぎると、お互いにプレッシャーになって重たいものです(笑)。以前、そのお客様の担当者さんからも「20%くらいが、お互いにとって一番ちょうどいい関係ですよね」と言われたことがありますが、本当にその通りだと思います。
2. 特定の作業者への依存:社内と社外でつくるセーフティネット
次に、現場の「属人化(特定の作業者への依存)」のリスクです。これに関しては、弊社もまだまだ道半ばです。
「この仕事はあの人しかできない」という状態は、そのメンバーが急な病気や退職となった瞬間に、すべての製造がストップするリスクを孕んでいます。
そこで現在、本社の金属加工部門では「設備の刷新」を大胆に進めています。機械の扱いを標準化・デジタル化することで、一人の職人に頼り切るのではなく、色々な人が色々な工程を担当できるように(多能工化)変えつつあります。
現場を引っ張る「大黒柱」のようなベテランは絶対に必要ですが、いざ忙しくて手が回らないという時に、周りがスッとサポートできる体制が理想です。
また、この属人化リスクをヘッジするためには、社内だけでなく「社外の協力工場さんとの付き合い」も極めて重要です。日頃から信頼関係を築いているからこそ、弊社のピンチの時に「なんとかするよ!」と手を差し伸べて助けてくれる。このネットワークも、大切なリスク管理の一つです。
3. 特定の人への精神的な依存:決断の孤独と向き合う
最後が、経営者自身の「精神的な依存」です。 社長業というのは、毎日が悩みの連続です。誰かに話を聞いてほしい、アドバイスがほしいと思う瞬間は数え切れないほどあります。
そんな時、親身になってくれる相談相手がいるのはとても心強いことです。しかし、そこに頼りすぎてしまうと、次第に「あの人が言っているから」「あの人に確認してからでないと決められない」という精神的な依存に陥ってしまいます。これは非常に危険です。
他人の意見やアドバイスは、あくまで「客観的な一つの視点」に過ぎません。会社の現場、リアルな数字、そしてお客様の状況を一番よく知っているのは、他ならぬ自分自身だからです。
アドバイスは真摯に受け止めつつも、最後は事実に基づいて自分一人で腹を括って決める。この孤独な決断から逃げるために、他人に精神的に依存してはならないと強く自分に戒めています。
終わりに:適切な「距離感」が、強い会社をつくる
売上も、現場も、そして自分の心も、何かに過度に依存してしまえば、それが崩れた瞬間にすべてが連鎖的に崩壊してしまいます。
大切なのは、お互いをリスペクトしつつも、どこかで自立している「適切な距離感」を保つこと。 これからもあらゆる依存リスクを敏感に察知し、しなやかで強い会社を目指して、地道な分散と仕組み化を続けていきます。
今週もお疲れ様でした。皆様、良い週末をお過ごしください!
