10トン超の断捨離。つくば工場の大整理で見えた、ものづくりの「過去」と「未来」
最近、下請法に関連して「下請企業の金型保管費用」の問題が大きくクローズアップされました。その影響もあり、ありがたいことにお得意先様からも、現状の金型保管状況についての問い合わせを数多くいただくようになっています。
廃棄の許可をいただいて適切に処理できるものは良いのですが、問題は「誰のものか、何の製品か、いつ使ったのか」が一切不明な、身元不明の金型たちです。
長年、工場の奥で眠り続けてきたこれら膨大な量の「正体不明な金型」をどうすべきか……。
私は年明けに決めました。2026年は「整理の年」にすると。たとえ費用がかかっても、整理すべきものはすべて整理する。その一環として、先日、稼働を停止している「つくば工場」の大整理を断行してきました。
10トンを超える「時代の名残」を廃棄
作業を始めると、30年以上動いていない金型が次から次へと出てきました。 いつのものか分からない金型、そして今は動いていないケトバシ、シャーリング、プレス機……。これらを一気にすべて廃棄しました。その総重量は、実に10トンを超えました。



廃棄作業を手伝いながら、ふと足を止めた瞬間がありました。 昔の金型はすべてダイセット付きで、本当に頑丈に作られています。それを見ていると、毎日毎日、同じものをひたすら抜き続けていた大量生産時代の熱気が伝わってくるようでした。
「保管」というコストの真実
昨今、「保管料を支払います」と言ってくださる企業様が増えたのは大変ありがたいことです。 しかし、現場のリアルな悩みは「管理コスト」にあります。
ITが発達していなかった時代の記録はあいまいで、台帳も残っていません。いざ「10年動いていないあの型はありますか?」と調査対象に挙がると、現場は血眼になって探さなければなりません。廃棄OKの返事をもらっていない以上、たとえ20年動いていなくても、紛失していればこちらの責任になってしまう。このリスクと、探す手間そのものが、私たちにとっての大きな負担でした。
経営判断としての「断捨離」
今回、私は一つの決断を下しました。 「記憶にない(詳細不明な)金型は、すべて廃棄する」ということです。
これらは2023年に、本社や近辺の倉庫から「どう見ても動いていない、見たこともない型」を選別して、つくばに移動させておいたものです。私が入社して23年、つくばに型を探しに来たのは2回だけ。そして、結局どちらも見つかりませんでした。
大型の鋳造用金型などを外部倉庫に預けている企業様であれば、保管料だけで膨大な費用が発生します。それを「下請けだから」と知らんふりして預け続ける不平等は、やはり正されるべきです。
うちのような手で持てるサイズの金型であっても、保管場所という「スペース」を占拠している事実に変わりはありません。ずっとやりたかったこの「金型整理」を実現でき、今は心底スッキリしています。
出さないと、入ってこない
この整理の後は、つくば工場の雑草問題を解決するための工事も控えています。 こうした整理や工事には、もちろんお金が出ていきます。
しかし、物理的なスペースが空き、心のモヤモヤが晴れると、そこには必ず新しい仕事や良い出来事が舞い込んでくるものです。これは理屈ではなく、私の経験則です。
「出さないと、入ってこない」。 定期的な断捨離は、経営においても、心の健康においても必要なことだと再認識しました。
綺麗になったつくば工場から、また新しい一歩を踏み出します!
