カテゴリー

金型の取り付けを簡単に。コストよりスピード

銘板作成の工程で必須の工程、プレス。金属を決まった寸法に打ち抜くものです。

プレスだけで打ち抜きは出来ませんので、決まった寸法の金型を作ります。いまちょうど金型の整理をしておりますが、年々増え続けるばかりです。

外形を抜くものなので、構造は至ってシンプル。「オス」と呼ばれるパンチと、「メス」と呼ばれるダイに分けられます。パンチをプレス機の力で下に下ろし、寸法にくり抜かれたダイを通し、製品が抜き落ちます。ちなみに抜け落ちないタイプ(プッシュバック)もありますが、説明を簡単にするために省略します。

パンチとダイの間にはすき間があり、そのすき間を「クリアランス」と呼びます。薄い製品であればクリアランスは少なめ、厚い材料はクリアランス大きめ。その設定は金型屋さんに任せておりますが、たった0.1mmの違いで抜け方が変わります。薄い製品の型で、厚物を無理やり抜くと、おわん型になるし、逆に厚物の型で薄物を抜くとバリが出ます。すべてはクリアランスが要因です。

プレス工程は、型と取り付けと実際の抜き作業に分けられます。多品種少量ですと数量100個とかよくありますので、抜き始めるとあっという間に終わります。ガイド穴あけから始めると、実際の抜き作業の時間が一番短いです。となると、段取り、つまり型の取り付けと調整がトータルの作業時間を左右するとも言えます。

取り付けはプレス機に金型を置くことから始まります。まずはパンチを上側に付け、ダイを下側につける。で、パンチをゆっくり下ろしながら、ダイにすっぽり収まるように位置を調整します。で、クリアランスが均一になるように、時には光を当てながら調整するのです。これがうまくいかないと、パンチとダイがぶつかって欠けてしまいます。それを「かじり」と呼びます。かじってしまうと抜いてもきれいに抜けません、バリが出ます。そうなると修理です。

上記の調整が不要の金型もあります。ポストとか柱とか呼ばれる二本の棒が金型についており、パンチとダイ、こちらで位置を調整することなく、すでに固定されているものです。このポスト付きの型の方が取り付けは早いです。全然早い。深さを決めるストローク調整だけになるのです。

ポストの有無で金型代は結構変わります。金型代安い方が見積もりは通りやすいから、以前はポスト無しの金型を数多く作っていましたが、作業者側からみれば取り付けが大変だし、かじると納期遅れにつながる。それを理解して以来、私はポスト付きの金型にするようにしました。高いけど。トータルで見ると時短につながります。

コストなのかスピードなのか、今私はスピードを重視します。仮に2万円高くなって、差額をお客さんに請求できなくても、ポスト付きを選ぶ。一時のコストダウンより、時短によってより多くの製品の生産が出来れば差額分はあっという間に償却できると思っております。

職人と呼ばれる人達は、ポスト無しでも短時間で取り付けが出来て、かじりなしで綺麗に抜ける。それはよく分かるし、金型屋さんにもポスト付きなんてもったいないって言われます。でも、うちには職人いないし、そこで勝負では無い!と割り切るようになりました。そう割り切るんです!!うちはどこで勝負という話し。職人軍団で勝負できる工場はそちらの方向で行けば良いし、それを否定することもありません。うちの会社はこれでいく!!との割り切りです。

今週は割と順調な一週間でした。今日は金曜日。みなさん、お疲れ様です!!