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コロナショックでマクロ経済政策を学ぶ①

世界中はコロナショックに戦々恐々です。私もその一人。天災だから仕方ないさと思いつつ、この先どうなることか不安満載です。まだ仕事は持っていますが、受注がガクンといつ落ちるのか、そんな漠然とした不安を抱えております。

ただ、仕事を離れて、世界の経済の動きを見るのには、今回のコロナショックは経済政策を学べる良い事例だと思います。世界中で今まさに行われている金融政策と財政政策、各国が打ち出す政策が金融市場と実体経済にどのように作用するのか、自分への影響も含めて、実体験できる貴重な経験です。

マクロ経済政策を考えるうえでよく言葉にする「金融政策」と「財政政策」は異なるものです。中央銀行(=日本で言えば日本銀行)が行う政策は金融政策で、政府が行う政策が財政政策です。中央銀行と政府はそれぞれ独立した機関です。金融政策で中央銀行は市場に出回るお金の量をコントロールし、財政政策で政府はお金の出し入れを調整します。今回のコロナショックを克服するために、中央銀行と政府が協調して政策を打ち出しているのです。

今回のようなリセッションが起こりそうなとき、中央銀行は金融緩和を行い、市場に出回るお金を増やします。景気の良し悪しは市場にあるお金がどれだけ動くかで、お金の絶対量だけではありません。ただし、じゃぶじゃぶお金を供給することで、その動きをよくすることを目的としています。通常、中央銀行は金利を調整してお金の供給量を調整しますが、日本の金利はマイナス金利ですから、引き下げる余地はありません。

日本以外の国、例えばアメリカはマイナス金利ではなく、金利を引き下げる余地があるのでので、金融政策として、まず政策金利を引き下げました。日本はどうしたかと言うと、日銀がETF(Exchange Traded Fund=上場投資信託)や社債、CP(Commercial Paper=コマーシャルペーパー)を継状より多く購入して、直接、現金を市場に投入しお金の量を増やしています。

日本は金利を下げ過ぎているので、政策金利でお金の量をコントロールできないということです。このように中央銀行が直接お金の量を増やすことを「量的緩和」と言います。ちなみにアメリカの中央銀行も、政策金利引き下げに加え、量的緩和も再開しています。この対応はリーマンショックの時にも行いました。そのことから、今回のコロナショックも、リーマンショックと同じくらい、もしくはそれ以上のリセッションとなるのではないか、と警戒をしているのです。

ちなみにETFとは上場投資信託、投資信託自体が上場しているので、ETFを買う事で市場全体の株式を買うようなものです。社債は企業が出す債券のこと。社債を発行して企業はお金を借りることになります。償還期限が決めれていて、企業は社債を買った人に決まった利息を払います。償還が決められているので買う側から見れば株式よりはリスクが少ない。社債の償還期間は通常1年以上で企業の長期的な資金調達の手段として使われています。逆にCPは短期的な資金調達の方法です。通常30日以内のものが多く、無担保の約束手形のようなものです。日銀は量的緩和を拡大して、企業の長期的・短期的な資金調達を支えているのです。

記事が長くなってしまうので、次回の記事で政府の財政政策について書きたいと思います。続く。