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保護主義にならないように。

日本を含め、世界中の国々で渡航制限が始まります。この制限で人の流れが完全にストップする。コロナウィルスの感染拡大を防ぐための水際対策の強化。仕方ありません。今は世界が協調して、この天災を封じ込めるしかありません。

ただ、私が怖いと思っていることは、このコロナウィルス騒動をきっかけに世界が保護主義へと進んでしまうことです。将来的にコロナウィルスが収束しても、ウィルスという大義名分で各国が渡航制限など、何かしらの人の移動を禁ずる処置を続けるのであれば、世界は再び保護主義の世界になってしまうのではないかと危惧しています。

世界の長い歴史を見ても、国際化・グローバル化が進むと、その後、保護主義に戻ります。保護主義が進むと世界を巻き込んだ戦争になる。その繰り返しです。

グローバル化により、もちろんメリットを全世界が教授します。全世界でサプライチェーンが出来、モノを安く買うことができたり、国境の壁を越えて投資が出来たり、労働力だって世界中で共有することができる。ただ、同時に弊害も出てくる。海外の安い人件費のおかげで仕事を失う人も多く、グローバル化に反対する人も増え続けている。欧州での難民受け入れの制限や、トランプ政権の誕生、そしてイギリスのEU離脱。グローバル化一辺倒の流れは、ここ十年くらいで大きく変化しています。

そのような保護主義に戻りかけている時のコロナウィルス問題。仮に今回のウィルスの発生源が中国の武漢であったとして、グローバル化が進んでいなければ、一国の問題で済んでいたかも知れません。そのある一国のある地方で起きた問題が、グローバル化による世界的な人の移動により世界中に広まったのです。将来的にウィルスの問題が解決しても、今回、全世界で経験している恐怖がすぐに消えることはありません。その恐怖感により保護主義に戻ってしまうのではないか。

欧米で日本人を含むアジア系の人たちに向けられる差別的な言動があると報道されています。そのような差別的な行為は非人道的だと頭では分かっていますが、もし、自分自身の周りで同じ状況になれば、その人が感染者かどうかではなく、その人の国籍などの属性で判断してしまうのではないかと思います。特に今回のウィルスのような目に見えないものですから。一度持ってしまう目に見えない恐怖心は簡単には払しょくできない。その恐怖心を政治的に利用されてしまうのが一番怖いです。

移動の制限による世界中の人々のストレス、経済的な大損害。騒動が収まって、また世界中でグローバル化のメリットを享受しよう!と以前に戻れば良いのですが、今回感じた恐怖心で、グローバル化自体が悪いことだという思考になった時、世界は再び保護主義に戻ってしまいそう。そうならないように願うばかりです。