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コロナショックでマクロ経済政策を学ぶ②

前回の記事では中央銀行の「金融政策」について書きましたが、今回は政府の「財政政策」についてです。

政府が行う財政政策ですが、減税や現金給付、また雇用や資金繰りに対する支援、保護者や学童、給食に関わる支援がこれにあたります。減税や現金給付はまだ議論の中にあり決定はしておりません。ただ、何かしらの方法で、停滞というか激減の恐れのある消費全体を下支えすることを検討しています。先にも述べましたが、景気の良し悪しはお金の動きですので、減税や現金給付でお金が消費に繋がれば良いですが、今回のコロナショックはヒトとモノの移動が制限されているので、どれくらい効果が出るのかは疑問なところです。貯金に回れば意味がない。

減税や現金給付以外の財政政策として、雇用確保のための雇用調整助成金(※雇用確保のために国が社員の給与を助成してくれる)の処置の拡大(※以前より助成率がアップ、条件も緩和)や企業の資金繰り支援があげられます。減税や現金給付は国民全体へのお金の還元ですが、雇用調整助成金や資金繰り支援などは、今回のコロナショックが直接的に影響してしまった企業等へのピンポイントな財政支援です。消費を下支えするというより、被害を食い止めるための政策です。小中高の休校により仕事が出来ない保護者への支援や、学童や給食に関わる支援もこれに含まれます。

もちろん、今回のような有事の際は、上記のような財政出動は必要ですが、「財源」の問題を忘れてはいけません。減税すれば税収が減りますし、現金を給付すれば国の持っているお金は減るわけです。そもそも税収だけでは成り立たないので、差額分は国債で補填します。今回の財政出動でより多く国債で賄わなければならないわけです。これは国の借金ですから、将来の負担も増える訳です。

だから、何でも国で補填すれば良いなんて軽々しく言えないのです。今議論に上っている現金給付ですが、仮に国民全員に2万円を配ったら2.4兆円です。その財源が必要です。財政政策による財政支出で、その支出以上に国全体の所得が上がることを「乗数効果」と呼びますが、今回の財政出動でどのくらいの効果が出るのか?も慎重に考えなければならないのです。ただし、コロナウィルスの影響で一時的に収入が減ってしまった企業や個人への支援は、生活を維持するためにも必要不可欠です。景気の良し悪しではなく、生活できるかどうかの問題。

日本は国の借金が信じられないほどあるので、金融政策と同様、政府が実行できる財政政策も限られております。このように、日本は有効的なマクロ経済政策をなかなか大胆に実行できないのです。これは日本に限った話ではなく、先進国どこでも抱えている問題です。

しかも、前回の記事で書いた金融政策と今回の記事で書いた財政政策は、コロナウィルスを直接撃退するわけではないのです。コロナウィルスによる経済や社会への損害をカバーする対処療法にすぎません。どんなにお金をばらまこうが、どんなに財政出動しようが、コロナウィルスが収束しなければ、この騒動は終わらないんです。なので、いつまで続けるのか?どのくらいの規模が必要か?は誰も分からない未知の世界。本当に厄介です。