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色って、本当に難しいんですよ。

最近も色に悩むことが多いです。社内の仕事も、外注さんに出す仕事も。

お客様からの指定色はDICやPANTONE、マンセル値、日本塗料工業会の色番号、などなど、多岐にわたります。しかも、DICだと版数で色が違ったり、そもそも、古い見本帳は色が褪せているから色が異なっていたり。

デジタル出力ですと、よくCMYKが使われます。でも、この数値を指定しても、同じ色にはならないのです。プリントするプリンター、目で見るモニター、全部色が異なります。なので、色指定はCMYK以外でされることが多いです。

特に難しいのが、「アルマイト」です。アルマイトとは、メッキみたいなもので、塗料ではなく染料で色を付けます。染物なんです。だから、長い時間つけておくと濃くなるし、時間短い場合は色が薄くなる。少し専門的は話ですが、長い間付けるとは、染料に浸している時間ではなく、アルマイト被膜の厚さによるのです。長くアルマイトをかければ被膜は厚くなる。アルマイト印刷はその被膜に染料をしみ込ませて染める訳ですから、被膜が厚ければ色は濃くなります。

その被膜って、数mmとか、0.〇〇mmとかではなく、μ(ミクロン)単位です。たった数μの差で濃くなったり薄くなったり。その被膜の管理ですが、基本的にアルマイトをかける時間に夜のですが、それ以外に温度も関係していきます。これ以上細かいことは書きませんが、とにかく色を合わせるのは難しいんです。

シルク印刷やオフセットなど、インクを使う場合はもう少し合わせやすいですが、これも焼き付けると色が変わりますので、調色する際は、焼付後を想像して色を作るんです。また、素材によって色見も変わります。お客様は持っている色見本は紙用で、下地は白です。でも、アルミってシルバーですから、同じインク使っても色は変わるんです。エッチングの焼付塗料も同じです。下地はステンレスや真鍮ですから、同じ色使っても見え方違います。

デザインによっても色見は変わります。ベタ(色付き面積が大きい)と文字でも、同じインク使っても見え方は変わるんです。例えば、濃紺。文字が濃紺の場合、濃くし過ぎると黒に見えます。逆のベタの場合、面積が広いから濃くしないと薄いって言われます。そんなバリエーションが無数にあるんです。

最近私が気を付けていることは、試作で出た色が必ず量産で同じ色になるわけでないということです。インクを使う場合は大体大丈夫ですが、染料の場合は色が変わってきます。1枚やるのと100枚やるのでは被膜の厚みが違うからです。特に色んな色を混ぜて色を作る場合です。黒単色であれば、濃淡で色見はあまり変わりません。でも、色んな染料混ぜて作る場合は、濃淡で全く色がかわる場合もある。だから、私はそのリスクは100回くらい言います。もうちょっと明るくとかもう少し赤っぽくとか、実はかなり大変なんですよ。

なので、最近は気軽に出来ますって言いません。お金払って特色塗料作ったって同じ色でるかと言えばそうでは無いのです。

そんな色って実は主観なんです。青なら何でも良いよ!っていう方もいれば、金が赤過ぎるって言う人もいるし。その判断も非常に難しいところです。この悩みは永遠な気がします。