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内製化のメリット

私が会社を継いだ時、何十年も使っていた大きな工場を壊し、土地を売却し、借り入れの返済を行いました。それまで年商と同じくらいの借入がありましたので、土地売却によってでた利益をそのまま借入の返済にあて、財務的には一気に負担が軽くなりました。その時は、事情がよく分からず、ただただ片付けのお手伝いでしたが、失ったものは大きかったと思います。

その後、ほとんどの工程を外注に頼ることになり、固定費は削減できたのですが、自分ではどうにもならないもどかしさを常に感じておりました。なにせ、社員を抱えつつ、自社で出来るような作業まですべて外注に依頼しており、それでは利益は残りませんよね。その後、できるところから内製化を進めることにしました。

弊社の立地やスペースを考えるとどうしても内製化出来ない工程はあるのですが、それ以外の工程は一つ一つ内製化しています。

内製化のメリットは、利益率が高くなることですが、一番大きなものは、やはり、自社でどうにでもできる、という部分です。工程の順番を自由に入れ替え可能ですし、何かに行き詰った時、トライアンドエラーがその場でできるということ。それは、品質レベルのアップとスピードアップにつながるのです。作業の効率化を通じて、こなせる仕事量も増えていきますから、その仕事の売上も自然に増えていくのです。この「自然」にっていう部分がミソで、内製化したばかりの時は割とうまく受注出来ません。しばらく経って振り返ると数字的に増えていることが多いです。社員の習熟度が上がるにつれ、おそらく私の中で仕事を受ける自信がついていって、自然と仕事を取れる営業になるのではないかと思います。

内製化することで社内に残るお金は増えます。これは、社員たちの苦労の対価ですが。残るお金が増えるほど、経営者として、営業としてはうれしいです(笑)だから、自然と気合入るというか。ほとんど外注費で消えてしまうのであれば、申し訳ないけど、そこまで頑張れないです。

うちは銘板屋です。〇〇印刷専門とか、〇〇加工専門とか、そういう業態ではありません。狙ってこの加工の仕事を取ると頑張ってもなかなか仕事は取れず、営業活動をしていくうちに、これも出来る?あれは出来る?というお客さんのニーズを徐々に拾っていく形で伸びるんですよね。〇〇専門の会社に比べると、各設備の稼働率は低いのかもしれませんが、逆に言うと、幅広く対応は出来るということです。結果として、設備は増えていくんです(笑)

学問上では、設備投資は費用対効果で決定するべきなのですが、うちみたいな小さい工場はそこまで考えていません(笑)もちろん不要な設備は導入しませんし、分不相応の高額な設備を入れるわけではありません。また、内製化することでこれくらい外注費が削減できる的な計算はもちろんしますが、そんな計算は仕入データみれば5分で分かります。そうなると、結局は直感というか、やる!って決めるか決めないか、ということになります。

内製化することで、社員達の負担は増えます。でも、頑張ると利益はより大きくなるのです。そのあたりのバランスね。私は経営者だから数字で判断しますが、社員たちは四苦八苦しているわけです。その苦労が将来実を結ぶ!というのは簡単ですが、実際にやる社員達は大変です。そこは感謝しております。

今、彫刻の内製化や印刷の内製化を進めていますが、やっぱりうまく行かないことも多い。で、社員たちで考え、試して、また、試して、突破口を自分たちで見つけるしかないのです。その姿を見ていて私はうれしいです。(※本人たちは大変だよね・・・)私は職人ではありませんから、私に聞いても答えは出ないんです(笑)ごめんね(笑)会社の構造として、これで良いと思っています。

今日も製造部は遅くまでやっていました。お疲れさまです。早く落ち着くように、、、祈るばかりです。その頑張り、私はきちんと見ていますよ。ありがとうございます。