【技術編】「AIで作った画像」で金属銘板は作れる?そのままではできない理由と現場の格闘
AI生成デザインのご相談が急増中!
火曜日恒例の技術ブログ。 最近、お客様からのお問い合わせで本当に増えているのが、「画像生成AIで会社のロゴ(銘板のデザイン)を作りました!この画像データで作ってください!」というご依頼です。
誰でも手軽にクオリティの高いデザインを作れる素晴らしい時代になりました。 しかし、結論から申し上げますと、送っていただいたAI生成画像を「そのまま」金属銘板の製造に使うことは、ほとんどの場合できません。
今回は、なぜAI画像がそのまま使えないのか、私たちが裏でどうやってデータ化と格闘しているのかをお話しします。
例外:そのまま印刷できるパターンもあります
まず例外として、画像データのまま製造できるケースもあります。
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工法: UVインクジェット印刷
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条件: 下地が白色の板で、極端な高解像度を求めないフルカラー印刷
この条件であれば、プリンターが画像をそのまま吹き付けて印刷してくれるため、AIで出力したJPEGやPNG画像でも綺麗に仕上がります。
問題となるのは、「金属銘板(アルマイト印刷、エッチングなど)で『版』を作る必要がある場合」です。
ハードル①:版には「完全な白と黒のパスデータ」が必要
金属銘板を作るためには、フィルムを出力して「版」を製作します。 この版を作る絶対条件は、「色を乗せる部分(黒)」と「色を乗せない部分(白)」が境界線を含めて100%クッキリ分かれたデータ(ベクター/パスデータ)になっていることです。
しかし、AIが書き出す画像データは無数の「ドット(ピクセル)」の集まりです。 画面上では綺麗に見えても、拡大すると境界線がグラデーションのようにモヤモヤとぼやけています。このままでは版のフィルムが作れません。
そこで弊社では、いただいた画像をIllustrator(イラレ)の「画像トレース(オートトレース)」という機能にかけ、ドットの画像を強制的に輪郭線(パスデータ)へ変換する作業を行います。
いろいろなツールを試しましたが、現状はIllustratorのオートトレースが最も精度が高いです。解像度が高く、シンプルな白黒のイラストであれば、この機能で綺麗にパス化して製造ラインに乗せることができます。
ハードル②:AIが勝手につける「影」と「立体感」の罠
しかし、凝ったAI生成画像ほど、次の罠に引っかかります。 それは、AIが親切心で見栄えを良くするために付けてしまう「ドロップシャドウ(影)」や「立体感(エンボス調のグラデーション)」です。
画面上では「0.5mmくらい金属が立体的に浮き出ているようなリアルな見た目」になっていても、実際のエッチング加工や印刷で、そんな微細な立体の階調をそのまま再現することは物理的に不可能です。
これを版用の白黒データにしようとすると、影やボカシの境界線がガタガタになってしまい、手作業で影を1本ずつ消していく修正作業に膨大な時間が溶けてしまいます。
ハードル③:「似たフォント」を探す果てしない旅
影の修正が困難な場合、画像を下絵にして、文字の部分を既存のフォントで打ち直してデータを作り直すことがあります。
ここで立ちはだかるのが「書体(フォント)の壁」です。
お客様からは「似たような書体でいいですよ!」と仰っていただけるのですが、AIが生成した独特なニュアンスの英数字にそっくりな実在のフォントを探し出すのは、砂漠で針を探すような途方もない作業です。Illustratorの「フォント検索機能」を使っても、現状はなかなか思い通りのフォントにヒットしてくれません。
AIデザインを入稿する際の「ちょっとしたコツ」
時代の流れとして、AI生成画像によるご入稿は今後ますます増えていくはずですし、弊社としても積極的に対応していきたいと考えています。
もし、これからAIでロゴや銘板デザインを生成して入稿される場合は、プロンプト(指示文)に以下の要素を少し意識していただくだけで、データ化の成功率が跳ね上がります。
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「フラットデザイン(Flat design)」
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「単色 / 白黒(Monochrome / Black and white)」
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「影なし / 立体感なし(No shadow / Vector style)」
どうしてもオートトレースで輪郭が崩れてしまう複雑な画像の場合、弊社でもトレースをお断りせざるを得ないケースがありますが、まずは一度データを見せてください。
新しいテクノロジーと、伝統的な製版技術。うまく組み合わせていきたいですね。
