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アメリカの大規模リストラ 労働力の流動性

Twitterだけでなく、アマゾンなど、大手のアメリカ企業が大規模なリストラを行っております。やっぱり日本とはまるっきり違う風景。雇用という観点でいうと、やはり日本は守られていると思います。

働く側から見るとどっちが良いのか?最近は円安もあって、日本と主にアメリカの給与水準が比較されることが多いのですが、給料が高ければ良いという話ではなく、日本の場合、雇用は守られているから、給与水準が低い代わりに、すぐにクビにならないという安心感があるのです。それを含んでどっちが良いか?の話です。

以前、外資金融の友人の話を聞いたことがあります。レイオフは事前に準備が進められいるのですが、本人は突然人事に呼び出され、その場でレイオフの通知。私物はあとで送るケースもあるようで、、、つまり、それだけシビアな世界です。景気悪くなれば、では、関連会社に出向させ雇用を守る、のではなく、レイオフです。その環境下で高い給料をもらうか、そういう心配せずに低い給与水準で我慢するのか、ということです。

レイオフされる側はとんでもない悲劇ですが、アメリカの場合はこうやって労働力が流動化します。成長してもっと人手が必要な業界に人が流れる。その決断というと、景気は悪くなってはいるけど絶望的でない今の状況で、早急に、かつ大規模に行うリストラ、日本では出来ないでしょうね。実はそれがアメリカ経済の強さの要因の一つかと言えます。

なんでそれが出来るのか?日本とアメリカでは、社員の職場に対する考え方と、会社が考える人の使い方がまったく違うのではないかと思います。

社員たちも、今の職場で何十年も勤め上げようとも思わないし、会社からしても、マネジメントがしっかりしていて、言って見れば仕事が属人的でないと考えています。つまり、ボトムアップかトップダウンかの違いで、日本の方がまだボトムアップな傾向にあり、社員個々人の能力が会社を形成している。アメリカ企業は、よりトップダウンで、そのポジションの職務内容が明確に定義され、社員たちがその職務のピースに当てはめられていく、そんなイメージを持っています。

日本にもプロ経営者が増えてきていますけど、アメリカはもっとその傾向が強いと言えます。社員たちが具体的にどんな仕事をするべきか、その具体的な範疇が曖昧なのが日本。そうなると、仕事も属人的で、その人でないとダメみたいな感じになり、余計に大規模なリストラが出来ないと思います。

日本ももっと労働力の流動性を高めないと!!という議論はよくありますけど、出来ない理由は、上記のような理由もあるのではと思うんです。

労働力の流動性が無いから、イノベーションが起きずらいということも一理あります。安心なぬるま湯の方が良い、雇用が守られればと。ただ、逆のシビアな環境だと、ドロップアウトする人もたくさんいるから、富める人と貧しい人の差がもっと広がる。いわば、現代の資本主義の負の側面です。今現在の各国経済のスナップショットで見れば日本の低成長は悲観的に考えられますが、もっと長いスパンで、安心して暮らせますか?という観点で見るとまた違った見え方があると思います。

うちは零細企業だから関係ないという訳ではありません。やっぱり私も雇用は守りたいと思います。どうしても合わなかったら仕方ないけどね。出来るだけ雇い続けようって思っちゃう。それは、社会的使命という訳ではなく、その方が自分の性格にあっているからだと思います。やっぱ、いくら儲けても、ギスギスした職場はイヤだからです。