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高収益企業から学ぶ④~不景気の時の考え方~

今回の記事も、高収益企業から学ぶ、パート④です。引き続き、エーワン精密の社長様のお話です。

今回のテーマは、ずばり「不景気の時の考え方」です。お話を聞いた時は100年に一度の不景気のど真ん中にいました。そんな状況でも、淡々とお話をする社長の姿が印象的でした。そして、実際の数字を見ても、リーマンショック後に見事に回復していますので、まさに正解!と思えます。

不景気の中での過ごし方、大きく分けて2つです。①営業はしない②不景気だから出来ることをやる

①営業をしないこと、これはまさに普通の考え方の真反対のことです。暇だから仕事は欲しいはず。でもそこをぐっとガマン。不景気の中ですと、出回る仕事は決まっています。新規案件が乏しい状況なので、他社でやっている仕事のコストダウンを狙った仕事。つまり、値段を下げて仕事を取るということです。不景気の中、安易に値下げをして仕事をとっても、好況時に値段を戻すことは出来ない。つまり、安い仕事はずーっと安いままです。

これは本当に難しい。特に蓄えがない場合、キャッシュがすぐに欲しい場合は、仕事が目の前にあれば取りに行ってしまいます。それを防ぐためには、好況時の価格設定が重要とのこと。つまり、好況時に、いつか来る不景気の時のしのぎ代を必ず価格に入れて蓄えを作っておくこと。そうすれば、仮に赤字になっても不景気をしのぐことが出来ます。

言うのは簡単ですが、実際にやるのは難しい。というのが正直な感想でした。赤字を出しても会社はすぐには倒産しませんが、社長としては仕事が切れて社員の手が空くことが一番精神的に堪えることです。そこぐっとガマンして、②の不景気だからこそ出来る事を実行するということです。

②不景気だから出来ることをやる。具体的には設備の更新であったり、設備のオーバーホール(メンテナンス)です。好況時はバンバン機械が動いているのでメンテナンスするわけにいきません。機会損失になってしまう。なので、それは不景気の中でやってしまい、次の好況時に備えるという考え方です。安い仕事で機械を動かすのなら、そこは割り切って設備更新なりメンテナンスをやってしまう。これは、好況時に機械設備の調子が悪く仕事がこなせないことを防ぐ。つまり、好況時の機会損失をあらかじめ防止するという考え方です。

また、機械の更新やメンテナンス以外に、不景気だからこその次の一手を実行するチャンスもあります。それは人材の確保/育成です。労働市場は10年前と現在ではかなり異なっていますが、基本的に不景気の方が良い人材が集まりやすいです。良い人材がどうかは別にしても、不景気の方が単純に人が集まります。そうなれば、良い人材にあたる確率も上がります。また、好況時は忙しくて出来ない人材育成のチャンスでもあります。教える時間を確保できる。そうすれば再び上昇傾向に入った時に、不況時に覚えた能力を発揮して利益につなげることが出来る。

社長様のお話をまとめますと、不景気は次にくる好況時の準備期間に充てなさい!ということと理解しています。うーん、これは少し時間と経験が必要なことかと思います。私はまだまだですので、直近の仕事が無くなる怖さの方が勝ってしまい、兎に角、目の前の仕事が欲しい!と思ってしまう。それをガマンするのは精神的に厳しいこともあります。ガマンするには、やはり本当の余裕が無ければ出来ません。余裕とは精神的に頑張って余裕を作るのではなく、あくまでも数字的に余裕が無いと本当の余裕は出ません。つまり、蓄えですね。

好況時に出来るだけ蓄えを作っておくことが重要になってきますね。つまり、適正価格をあくまでも守りきちんと利益を出すこと。あとは無駄遣いしないということ。調子良いと、そのあたりの感覚が緩んでしまいますので、好況時こそ、いつでも不景気来い!っていう感覚で、適正に管理を行うことが大切かと思います。

うまく言葉では説明できないのですが、経営では「良い流れ」ってものがあると思うんです。その時々に利益が出るとか損失が出るとか、そういう考えでなはく、経営が一本の線のようなイメージで。好況時に利益出たぞ!っていうのは本当の意味での強さではなく、不景気でも赤字にならないで、トントンか少しくらい利益が出る体質にして、しっかり準備をして次の好況に備える。そうすれば、好況時により利益が出る。不景気を乗り切るだけの余裕(=蓄え)を好況時にしっかり出すことで、次の不景気に備える。こんなサイクルが理想です。

これは価格設定にもよるし、社内の生産体制の確立にもよるし、人材にもよるので全社的な戦略ですよね。ただ、このサイクルがうまく回り始めると少し景気が落ちようが経営的は何の問題もない。リアルな精神的余裕につながります。当社もその扉の一歩手間にいるような気がしていますので、まさに今、それを実行する時期です。といいつつ、仕事が忙しくなると目の前のことで精一杯ですが。。まさに今、私はどう成長できるかの踊り場にいるような気がして仕方ありません。すこし遠くを見てみよう!と思います。